中山間地域直接支払制度
その名称の通り、平地とでは耕作条件が不利である中山間地域において、その条件格差を是正し、農業生産活動を通じて多面的機能の発揮をはかることを目的とした政策。
生産者の高齢化などによる耕作放棄が進まないように、また、地域の農道や水路といった生産基盤の維持、管理を目的として行われる共同活動への補助として、
さらには、農業のもつ多面的機能増進に向けた取り組みを行うなどの協定に参加した農家に対して直接支払う制度。
第1期は平成12年度から同16年度まで、第2期は平成17年度から同21年度まで。したがって本年3月末をもって5カ年計画が終了する。
民主党政権になっても、第3期の5カ年が本年4月から始まる。
さて、講釈はおいといて、すべての農業者にとってこの政策は有意義なのだろうか。確かに市町村に対するアンケートではほとんどの自治体が効果があったとしている。
第1期のおりに役員となり、いわゆる箇所付けをし予算の執行に携わった。私の参加した集落協定は、農家数、面積共に大きく、それに対して予算案は大まかであり、決
算期間際になると、未消化予算に頭をひねった。幸いにも私の担当した部門は比較的順調に予算を達成したので、所定の任期を終えて役から退いた。
短期間ではあったが役員の一人として感じたことを述べたいと思う。
第2期においては具体的な計画についてかなり踏み込んだ制度となったようだが、前期と同じく予算案と決算の間には大きい隔たりが生じているようだ。
原因ははっきりしていると私は思う。つまり、全員参加で緻密に積み上げた予算などはなく、どっかの政府と同じく、声の大きい一部の人間の意見がまかり通っている状
態なのだ。最後には予算消化を叫んで分捕り合戦をし、多くの協定参加者は蚊帳の外に置かれ、帳尻合わせの決算書で役人を接待して手打ちとなる。
そんなことではこの制度の趣旨が尻切れトンボに終わってしまいかねない。政治と同じく、一般農家がもっと具体的な計画や予算案に関与すれば、多くの農家が納得し
て参画し参加する制度となり、農村環境は明るく開かれたものになると思うのだが。
下記の農地・水・環境保全向上対策と併せて相乗効果を発揮して、真に農家と農村環境の向上に寄与し、地域社会が発展することがこの制度の目指すところであろう。
*参考 交付金の一例 急傾斜(15度以上)の畑地の基礎単価 9,200円/10a 加えて一定の事業行えば上乗せされる。第2期では4割が農家へ直接支払い分
農地・水・環境保全向上対策
上記制度が主たる対象を個別農家としている(実際には1/2以上を共同活動に充当するように指導している)のに対して、地域の共同活動を対象とし、地域資源の保全
管理や農村環境を保全する組織に対して支払われるのが大きな違いだが、一部重複する部分もあるので、適切な役割分担をしてこの対策の主旨を生かし、地域発展の起
爆剤としたいものである。
この事業は平成19年度からの5カ年計画であり、平成24年3月をもって第1期が終了すると思われる。したがって、第2期が始まることを想定した準備はすぐに始めるべ
きであろう。第1期中山間地域直接支払制度がスタートして2年程度はドタバタしていたことを考えると決して早すぎることはない。
行政はもとより、農協や営農組織、各種団体と連携して、まず事業の周知を図り、どのような活動組織の形態をとるのか、上述した問題点(棲み分けが必要)を含め
資源や環境などの課題を検討しながら、事業への参加意欲を盛り上げていく必要がある。
*参考 支援交付金の一例 畑地の基礎単価 2,800円/10a 高度な取り組みを行えば上乗せされる。営農基礎活動支援や先進的営農支援。
例えば技術研修や先進地調査、土壌分析、環境負荷低減の検討会等々が営農基礎活動支援と見なされる。また、一
定面積以上で化学肥料、化学合成農薬の5割以上低減をすれば先進的営農支援として取り組み農家へ配分も可能。
農業者戸別所得補償法案
本年4月からスタートする米農家に対する個別所得補償事業 15,000円/10a当たり定額交付される。併せて自給率向上事業として水田で主食米以外の、麦、大豆、
米粉用米、飼料用米等を生産すると交付される。1例として、麦、大豆、飼料作物の場合35,000円/10a
詳しくは農水省や農政事務所、市町村、水田協議会へお問い合わせを